歯の細胞バンク外来

概要

1. 歯の細胞バンク外来とは?

 歯の中にあるやわらかい組織を歯髄とよびます。歯髄には、歯に栄養を与える血管や、痛みを感じる神経が入っています。組織を作るもとになる細胞である幹細胞が含まれている歯髄には、優れた能力があり、骨、脂肪、神経など様々な細胞に変わることが出来ます。そこで、将来の再生医療のために乳歯、矯正治療で抜歯する歯や親知らずの歯髄が注目されています。

 基本的には抜いた歯は、捨ててしまうことが多く、また抜いたままの状態で自宅に保存しておいても歯髄の細胞は死んでしまいます。しかし、抜いた歯を特殊な培養液に入れて歯の細胞バンクに送り、歯髄の細胞を培養して保管した場合、その細胞を半永久的に液体窒素の中で保存することが可能になります。また、将来病気やケガなどで組織を失った場合、ご自身の細胞で再生医療に使用できる可能性があります。

 歯の細胞バンク外来は、このように抜いた歯の神経(歯髄)の細胞を管理・保存するための外来です。

2. では、どの歯の歯髄が使えるのか?

 大人の歯に生えかわるために抜ける乳歯や、治療のために抜く必要のある親知らずや矯正などで抜く虫歯のないきれいな歯などから歯髄を取り出すことができます。

 ただし、すべて抜歯による治療が必要と判断された歯に限ります。歯の細胞バンクのための抜歯は行いませんのでご注意ください。

3. 歯の細胞の保管方法

 抜いた歯の歯髄から細胞を取り出す→細菌の混入や細胞の成長具合を調べる→凍結保管

4. 期待される歯の細胞を用いた再生医療

 歯髄の細胞は、骨、神経、脂肪、筋肉などの細胞に育てられることが知られており、さらに研究がすすめば、肝臓、心臓、腎臓、皮膚、眼など全身の再生医療へと可能性が広がることが期待されます。

5. 費用について

細胞培養料 55,000円
細胞保管料 22,000円(毎年)

*上記費用(細胞培養料、細胞保管料)の他に、抜歯料金やお薬などの料金がかかります。詳細については、担当医にお問い合わせ下さい。
*細胞を保管後、再生医療などに使用するとき、細胞を起こしてみたら細胞が増えなかった、または、細胞が感染していた等が発生した場合は、費用は返金されます。
*神経や筋肉などの細胞に変化しなかった、あるいは、細胞を移植しても病気が治らなかった場合は、費用は返金されません。

6.担当スタッフ

外来長 荘司洋文
澁井武夫

7.連 携

日本歯科大学 歯の細胞バンク
日本歯科大学生命歯学部発生・再生医科学講座