顎関節症診療センター
顎関節症診療センターについて
2001年より、日本顎関節学会による診断基準および世界的な診断基準(Diagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders:DC/TMD)に相当する顎関節症患者および原因不明のめまい、耳部の痛み、頭痛、咬合異常感(違和感)などを含める他の身体的訴えを有する患者に対して、除外診断および当該症状に対する治療を行っています。治療方法は非侵襲的治療を最優先して、徒手的理学療法および行動変容療法、運動療法、カウンセリングにより構成しており、例年の診療実績は年間延べ患者数約3,000名、年間初診患者数約900名程度です。
2013年から日本顎関節学会、日本口腔顔面痛学、日本歯科人間ドック学会日本アンチエイジング歯科学会の各専門学会における認定講習において当診療センターの取り組みを基礎にした診断・検査・治療方法について教育講習を開催し、東京医科歯科大学歯科同窓会ポストグラデュエート2日間コースを開催するなど、当診療センターにおける活動について広く学会専門医・指導医および開業歯科医師に対して、啓蒙・教育活動を行っています。
当センターの診療は初診・再診ともに予約制になっております
詳細につきましては下記をクリックしてご覧になってください。
顎関節症(がくかんせつしょう)とは?
アゴを動かす筋肉や、アゴの関節の周囲に痛みや、重苦しいだるさを感じて、アゴがうまく動かなくなる症状のことを顎関節症と呼んでいます。以前は関節の中にある軟骨のズレや骨の変形に問題があるのだろうと思われていましたが、今はアゴを動かす筋肉や腱に問題がある人が多いことがわかってきています。
顎に不調を感じている人は意外に多い!でも、慌てる必要はありません
アメリカでは1千万人以上の人が何らかの不調をアゴに持っているだろうという統計的な予測研究がいくつか報告され、日本では、成人の約半数近くにアゴの不調を感じている人がいるという報告があります。といっても、アゴの不調の程度は人それぞれに違い、いっとき痛みが出ても、重症化することはほとんどなく、自然に回復することのできるセルフリミテッドディジーズといわれる特徴をもっています。
顎関節症の症状は、回復するまでにかかる時間こそ人それぞれに異なりますが、その9割の患者さんが自然と回復しているという報告が世界的にまとまってきています。もし、あなたが顎に何らかの不調を感じても、まずは、様子をみることは間違いではなく、症状が自然となくなっているならば、慌てて病院に駆け込む必要はありません。
原因と治療法の考え方は大きく変わっています
社会保険診療を基本とし、一部自由診療を適応する
以前は“咬み合わせや歯並びが悪い状態で、生活を続けるとアゴの関節に負担がかかり、やがて顎関節症になる”と説明されていました。そこで、取り組まれていた治療法は
- マウスピースでアゴの位置を変化させる
- 歯を削ったり、親知らずを抜くなどして、咬み合わせに変化を与える
- 歯列矯正や外科手術で歯並びや咬み合わせを大きく変える
というような、元の状態に戻すことにできない、患者さんにとって侵害性がつよい治療が大半を占めていました。しかし、成功率はどの治療法も50%を越えることはなく、治らないまま、かえって悪化してしまう人も多く報告されたため、原因と治療法の再検討が世界的に始まりました。その結果“顎関節症は複数の原因によって生じるので、それらに対して多面的な治療をする必要がありますが、治療は患者さんにとって害のほとんどない、安全性の高い治療法を選択すべきである。”という考え方に大きく舵をとりなおすことになりました。
現在、安全性の高い治療法として推奨されているのは
セルフケア(ホームケア)
- しばらくの間は、やわらかいものを食べる
- 氷水やアイスパック(保冷剤)を痛い部分にあてたり、こすったりする
- 肩・首・アゴのストレッチ体操や少し強めのマッサージをする
オフィスケア(診療室での治療)
- 日常の姿勢・動作を中心とした生活習慣を指導する
- 肩・首・アゴのストレッチ体操やセルフマッサージ法を指導する
重症の患者さんには、筋膜マッサージ療法(自費治療)が必要になることがあります。治療法の詳細については顎関節症診療センター担当医にご相談ください。
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ストレッチ療法
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セルフマッサージ療法
指導医・専門医
口腔顔面痛学会 認定研修施設
口腔顔面痛学会 指導医1名・専門医1名